気になったので読んでみました。
第1回 『e-ディスカバリー法って?』 2011-02-08
米国の訴訟での証拠開示手続きについて、2006年に連邦民事訴訟規則に電子情報に関する規定を追加・整備されたものが通称「e-ディスカバリー法」。米国での訴訟においては、理由の如何を問わず、証拠を開示できなかった側は敗訴する可能性が高いので、この法律の既定に従って証拠を開示できるように準備が必要、ということのようです。
第2回 『e-ディスカバリーと日本の法律を比べてみよう』 2011-02-09
大陸法主義(ヨーロッパ式)と判例法主義(英米式)。英米式の場合には法律には方の目的が記載されていて、事例がそれに反する場合に法律違反を問われるのですが、その判断が法廷で行なわれるために裁判官、陪審によって異なった判決が出る可能性があるようです。大陸法の場合には法律は規定の集まりと考えられていて、規定に反していなければOK、と判断されるそうです。こちらでは基本的には裁判官による差は出にくい構造になっています(があたらしい問題には対処不能になる欠点があります)。
第3回 『「引用」と「Fair Use」の違いに見る日米差』 2011-02-10
大陸法と英米法の違いを著作権法の例外規定を例に挙げています。日本の国内法では、例外となるものが羅列されているのに対して、米国方では Fair Use という概念で許可を与えています。禁止するものを羅列する(ブラックリスト)なら法は制約を受けますが、許可するものを羅列する(ホワイトリスト)では新規事業を抑圧することになります。で、東京都の悪名高い青少年健全育成条例の改正案まで挙げていますが、よく考えるとこのあたりe-ディスカバリー法には関係ないですね。重要なのは概念ベースで法が規定されている場合には判断するのに必要とされる情報が広範囲に渉る点だけしょう。
第4回 『もっと現実的な問題―証拠データの保管と抽出』 2011-02-14
そういえば、どこの訴訟でしたか、データを開示しろといわれてテラバイト単位のデータを提出して(しかも文書で!)逆切れされたケースがありましたね。
現実問題としては、大量データをそのまま提出するというのはありえません。中に裁判に関係の無い機密情報、プライベート情報が含まれている、という問題もありますし、裁判で利用可能になっていないと証拠として使って貰えないという問題もあります。ということで何らかのフィルタリングが必要になるのですが、肝心のフィルタリング条件についてはお茶を濁しています。実際には、証拠開示手続きの一環で、どのような範囲でどのような情報を出すかを交渉することになるのでしょう。
ちなみに最近世間を騒がせている相撲の八百長、訴訟手続き的には別の事件のために収集した情報を目的外に使ってしまっている可能性がありますな。証拠開示条件をきちんと詰めていれば八百長問題の方はばれなかったのかもしれません。
第5回 『e-ディスカバリー法とクラウドの関係を考える』 2011-02-15
ここで挙げられている問題のうち、クラウド側で必要な情報が保持されてるかどうかはクラウドサービスの問題ですね。サービスによって違いはあるのでしょうが、クラウドだからデータが保持されていません、なんてことはクラウドサービスとして有り得ないでしょう。ただ、クラウド使っている場合には、クラウド上のデータの全コピーを取るために必要となるデバイスの問題(容量的な問題)は出てきそうですね。
スマートフォン云々については、逆にこれはどういう誤解しているのかな、という感じです。記憶装置をもったPCが出現した時点からの問題であってスマートフォン、スレート端末の広がりとは全く無関係ですね。このあたりは詳しくない人間を脅すような流れになっています。
結局のところは最後の文「バックアップやフォレンジックを戦略的なデータ管理と結び付けて考えることができれば」になるのでしょうね。訴訟対策だけでデータのフィルタリング持っているのは間抜けな話ですから、必要に応じてバックアップからのデータ抽出が可能なシステムを、といったあたりが理想の対応になるのでしょう。
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